【ジャズ初心者向け】おすすめアルトサックス奏者 5選に続いて、今回はジャズ初心者におすすめするテナーサックス奏者を5名紹介します。
テナーサックスは、アルトサックスと比べて音域が低く、太めのサウンドです。
同じサックスの仲間ですが、少し性格が違うようにも感じますね。
今回も、ジャズ初心者が親しみやすいような人選と選曲を念頭に置いて紹介します。
まずはBGMにするくらいのつもりで、何となく聴き始めてみてください。
きっとジャズへの興味が広がりますよ。
読んでもらいたい人
この記事は、聴き易いジャズ・テナーサックスを探している方にピッタリの内容です。
ジャズを聴き始めるきっかけを探している方も是非どうぞ。
おすすめテナーサックス奏者 5選
では今回もそれぞれ簡単な解説と共に紹介します。
リンクの動画で音を聴きながら読んでみてください。
ハンク・モブレー (Hank Mobley)
1930年7月7日 – 1986年5月30日、アメリカ ジョージア州生まれ。
ハンク・モブレーは、1950年代から60年代に活躍した演奏家です。
ふくよかで落ち着いた音色と歌心ある演奏で人気があります。
後述する4名と比べるとやや大人しい印象を受けますが、逆にそれが個性となったようにも感じます。
ジャズの中でもハード・バップと呼ばれるスタイルで多くの作品を世に出し、好評を博しました。
おすすめ音源
おすすめのアルバムはたくさんありますが、その中でもソウル・ステーション (Soul Station) 1960年 は代表作のひとつです。
ハンク・モブレー本人もさることながら、共演のウィントン・ケリー (Wynton Kelly ピアノ奏者)、ポール・チェンバース (Paul Chambers ベース奏者)、アート・ブレイキー (Art Blakey ドラム奏者)も素晴らしく、スウィンギーでお洒落な演奏を繰り広げます。
ジャズ入門にはもってこいのアルバムです。
どの収録曲も素晴らしい演奏ですが、ここでは1曲目のリメンバー (Remember) を紹介します。
ジャズ・スタンダードからの選曲ですが、出だしの1音目からハンク・モブレーの素晴らしい音色とノリを聴くことが出来ます。
落ち着いていて、ノリが良くて、洒落ている三拍子そろった演奏ですね。
ジョン・コルトレーン
1926年9月23日 ‐ 1967年7月17日、アメリカ ノースカロライナ州生まれ。
ジョン・コルトレーンは、ジャズ・テナーサックスのみならずジャズ界全体に影響を及ぼした演奏家です。
1955年にマイルス・デイビス (Miles Davis トランペット奏者) のグループに入るまで無名で、しかも加入後の演奏も低評価でした。
その後の猛特訓の末「シーツ・オブ・サウンド (Sheets of Sound)」と呼ばれる、音を敷き詰めるような演奏スタイルを手に入れて評価を高めます。
その後、複雑なハーモニー・システムの通称コルトレーン・チェンジ (Coltrane Change) を編み出したり、より自由な演奏を求めてフリー・ジャズという形態にたどり着くまでになりました。
演奏家として活動して20年、そのうち最前線での10年間で大きな発展と変化を続けたのがジョン・コルトレーンです。
おすすめ音源
ジョン・コルトレーンの場合、あまりにも様々な演奏スタイルのアルバムがあり過ぎて非常に困ります。
その中でジャイアント・ステップス (Giant Steps) 1960年 をおすすめします。
前述のコルトレーン・チェンジを発表したアルバムで、非常に複雑で速い曲から美しい曲まで収録されています。
1曲目に収録されている表題曲のジャイアント・ステップスがまさにコルトレーン・チェンジの楽曲です。
初心者向きとは言えないかも知れませんが、そのアクロバティックでハイテンションな演奏を楽しんでみてください。
ソニー・ロリンズ (Sonny Rollins)
1930年9月7日 ‐ 、アメリカ ニューヨーク州生まれ。
ソニー・ロリンズは10代の頃からプロの演奏家として活動を始めた早熟な演奏家です。
豪快な音色と、独特の歌う自由なフレージングが魅力です。
自由で豪快なソニー・ロリンズと、精密で理論的なジョン・コルトレーンはしばしばライバルという図式で世間からは見られていたようですが、当人同士は仲が良かったそうです。
また現役時代は何度も一線を離れて、山籠もりするかのように自己研鑽を積むような努力家でもありました。
活動初期の頃は、チャーリー・パーカー (Charlie Parker アルトサックス奏者) の影響を感じさせる演奏をしていました。
後年は、誰にもマネできないソニー・ロリンズの演奏を確立させ唯一無二のジャズ・テナーサックス奏者となりました。
おすすめ音源
ソニー・ロリンズのアルバムと言えばやはり、サキソフォン・コロッサス (Saxophone Colossus) 1956年 を挙げるしかないでしょう。
冒頭1曲目のオリジナル曲セント・トーマス (St. Thomas) は、陽気なカリプソのリズムとキャッチーなメロディで人気です。
その他も名曲・名演揃いの素晴らしいアルバムです。
ここで紹介する音源はバラードの、ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ (You Don’t Know What Love is) です。
何と言っても、冒頭からの豪快な歌いまわしに完全ノックアウトされます。
スタン・ゲッツ (Stan Getz)
1927年2月2日 ‐ 1991年6月6日、アメリカ ペンシルベニア州生まれ。
スタン・ゲッツは、深く落ち着いた音色と流麗なフレージングが特徴の白人テナーサックス奏者です。
初期のキャリアとして、ビッグ・バンドにおける活動期間があったそうです。
その後、クールな表現と暖かい音色でクール・ジャズを代表する演奏家のひとりとなりました。
また、1960年代にはブラジル音楽のボサノヴァを取り入れたアルバムを制作し、人気を得ました。
スタン・ゲッツの演奏はその温かい音色と裏腹に、閃きを感じるような即興メロディとエネルギッシュさを感じます。
1970年代はチック・コリア (Chick Corea ピアノ奏者) とのコラボレーションなどで新しい音楽スタイルにもチャレンジを続けました。
最晩年にはケニー・バロン (Kenny Barron ピアノ奏者) との素晴らしいデュオ演奏で活動しました。
おすすめ音源
たくさん良いアルバムがある中から、おすすめはやはりボサノヴァのジャズ・サンバ (Jazz Samba) / スタン・ゲッツ & チャーリー・バード (Charlie Byrd) 1962年 でしょうか。
これがアメリカにボサノヴァを紹介する事になったアルバムです。
やはり、このアルバムの冒頭に収録されているデサフィナードは格別です。
この曲は、ブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン (Antonio Carlos Jobim) による名曲です。
スタン・ゲッツはメロディを美しく歌い上げると同時に、中盤以降のアドリブでも素晴らしい閃きを聞かせています。
デクスター・ゴードン (Dexter Gordon)
1923年2月27日 ‐ 1990年4月25日、アメリカ カリフォルニア州生まれ。
デクスター・ゴードンは、1940年代からニューヨークで活動していました。
かなりの大男だったそうで、演奏の方もそこからイメージされるような、どことなくスローな動きを感じるフレージングが特徴です。
その傾向は晩年になればなるほど顕著で、高速道路を走るトラクターとでも言わんばかりです。
しかし初期の演奏を聴いてみるとそれ程でもないので、年を追うごとにスローになっていったのでしょう。
実はスローというのはテンポの事ではなく、タイム感のことです。
当然アップテンポの曲も難なくこなせるテクニシャンであるところからも、それを見て取れます。
そのタイム感からゆったり感や壮大さを感じる中で、時にユーモラスなフレージングが顔を出す演奏が特徴でしょう。
晩年には俳優として、映画「ラウンド・ミッドナイト (Round Midnight)」で主演を務めました。
その演技も素晴らしいもので、アカデミー主演男優賞にノミネートされたほどです。
内容はバド・パウエル (Bud Powel ピアノ奏者) の実話に基づく、とても素晴らしい映画です。
一度観てみることをおすすめします。
おすすめ音源
デクスター・ゴードンの代表作は何枚かありますが、ゴー (Go) 1962年 がおすすめです。
ゆったりとリラックスした演奏のなかに、音色・フレーズ・リズムの主張がしっかり聞こえてくる演奏です。
オリジナル曲とジャズ・スタンダードを織り交ぜた選曲も秀逸です。
1曲目のチーズ・ケイク (Cheese Cake) はデクスター・ゴードン自身の作曲です。
可愛らしいテーマのメロディと貫禄のあるテナーサックス・サウンドが良い感じのバランス。
アドリブ・ソロにおける巧みなフレージングも素晴らしいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アルトサックスと少し違うテナーサックスの魅力は見つかりましたか?
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